今日(平成14年)の現状を踏まえ、あらたな時代へ
長引く景気低迷の日本経済にあって、バブル経済崩壊により多くの債務を抱えた地元金融機関の破綻は、地元経済界にも大きな衝撃を与え、いまだにその影響が残っている。
そうしたなか商業界にあっても郊外に相次ぐ大型店出店により、「ユニー加賀店」は撤退、地元商店も倒産や廃業で年々店舗は減少し、町の中には以前の様な商店街といえる所は無く成り、それぞれの町々に空き店舗を伴いながら個店として厳しいなか生き残っている。
特に昭和30年代まで栄えた町中の商店街地域は道路が車社会に対応できるだけの幅員がなく、現在では繁栄した頃の面影は全く感じられず、住宅街化した状態である。 こうした状況のなか、しいて購買者が集まり多少の賑わいを持てている場所は、佑企・マルエー・Vマートといったスーパーマーケットを中心とした界隈の3地域である。
しかし、それらの集客地にしても、地元民と近郷近在の購買者に限られていて「ユニー加賀店」営業当時程、広範囲に亘る外部からの集客力はなく、町全体に以前の様な活力は見られません。
- 核となる大型店の撤退や店舗の急激な減少は地元住民にも日常生活に大きな影響を与えている。
- これまで大聖寺町内で日常生活に必要な物資は殆ど全て調達できたはずであったが、近年「靴屋」は一軒もなく靴を買うにも郊外まで出向かなければならない不便さがある。
- 今後、他の業種に於いても更なる事態も起こりうる事が予想されるのである。
このような現状を引き起こした原因は、大型店や広域専門店の、利益のみを優先した強引な出店、身勝手な撤退によって、これまで行政と地元業者とで長年に亘り築き上げたライフスタイルを一夜にして破壊し、住民生活を窮地に陥れる様なものであり、高齢化が進む当地にとっては、大変深刻な難題であるが、今後もこうした事態が起こらない保障は無く、第2波、第3波の大型店出店・撤退が繰り返される恐れがある。
この様な厳しい現状と先行き多くの不安材料を抱える「まち」が現在の大聖寺である。
今回大聖寺商工振興会も50周年目を迎え、直面する厳しい経済環境や、混乱し低迷する商業環境の難局を乗り越え、新しい時代の商業都市づくりを推進するには、利益一極主義の大型店舗に翻弄されない「まち」づくりの必要性が求められている。
人口12.000人弱の大聖寺、既存のスーパーマーケットを中心とした3地区の集客地が有り、現段階ではこれ以上の集客地の増加は計算上成り立たないが、今後暫く淘汰が繰り返されると思う小売業界も、一定の秩序が生まれた時、一区域の通りを活用し地元業者を主体とした専門店を集結させた、こじんまりとした商店街を形成することが出来れば、大型店の動向によって左右されない「まち」づくりとなる。
今後地元商業者で知恵を絞り、そうしたものが将来実現出来る様努力したいと思うが、正直言って、その頃には今苦しいなか頑張っている地元業者が、どれだけ生き残っているか疑問だ?